スクワットの足幅(スタンス)についてよく耳にすることがあります。
- ナロースタンス(狭い足幅)の方が大腿四頭筋(腿(もも)の前面)に効果的。
- ワイドスタンス(広い足幅)の方が大殿筋(お尻)と内転筋(股内側)に効果的。
これらは実際に科学的な根拠に基づいているのでしょうか。実に意外な結果を主張する論文に出会いました。
元ネタにさせていただいた論文です。詳細は以下をご参照ください。
Stance width and bar load effects on leg muscle activity during the parallel squat (STEVEN T. McCAW and DONALD R. MELROSE 1999)
論文の要点をまとめてみます。
- 実験時の足幅(スタンス)の種類:ナロースタンス(狭い足幅、肩幅の75%)、肩幅スタンス(肩幅と同じ足幅)、ワイドスタンス(広い足幅、肩幅の140%)の3種類。
- 実験時の負荷:1RM(1度で持ち上げられる最大重量)の60%(低負荷)と75%(高負荷)の2種類。
- 用語
- 下降局面:スクワット動作で体を下へ沈める局面
- 挙上局面:スクワット動作で体を持ち上げる局面
- 実験の結果
- 大腿四頭筋(腿(もも)の前面):スタンスを変えても有意な筋活動の差はなし。
- 長内転筋(内転筋、腿(もも)の内側):ワイドスタンスではナロースタンスと肩幅スタンスに対して20%の筋活動の優位。またワイドスタンスの際に下降局面よりも挙上局面で50%の優位。
- 大殿筋(お尻):高負荷かつワイドスタンスの場合に他のスタンスに対して筋活動が優位。挙上局面では下降局面に対して2.25倍の優位。
- 大腿二頭筋(腿(もも)の後面):挙上局面では下降局面に対して50%の筋活動の優位。スタンスを変えても有意な差はなし。
この結果から大雑把に以下のことが示唆されます。
- ワイドスタンスにすることで大殿筋(お尻)と内転筋(股内側)への効果を上げることができる。
- スタンスの違いによる大腿四頭筋(腿(もも)の前面)への効果の関係性は見られない。
- スタンスの違いによる大腿二頭筋(腿(もも)の後面)への効果の関係性は見られない。
つまり、この論文の検証結果が正しいとすると・・・
- (ウソ)ナロースタンス(狭い足幅)の方が大腿四頭筋(腿(もも)の前面)に効果的。
- (ホント)ワイドスタンス(広い足幅)の方が大殿筋(お尻)と内転筋(股内側)に効果的。
実に意外な結果です。ワイドスタンスでも大腿四頭筋および大腿二頭筋の腿(もも)の前後面への筋トレ効果が変わりはないということは、バーベルスクワットにおいてワイドスタンスに重点をおいた方が良いと主張できる可能性があります。
バーベルスクワット動作でも大腿四頭筋(腿(もも)の前面)を鍛えることがもちろんできているわけですが、もし「集中的」に効かせたいならば、スタンス(足幅)という観点ではなく、「スクワットの「正しい」フォームは実は一つではない・・・らしい。その科学的根拠とは」エントリで触れたように膝関節主導型スクワットのフォームで行った方が効果的である可能性もあります。ただしケガのリスクも高いフォームなので、もし必要な場合にはトレーナーの方に相談してみるのも良いかもしれませんね。
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