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2017年2月13日月曜日

もはや腹筋運動(シットアップやクランチ)は時代遅れ、米軍やカナダ軍が体力測定から除外へ


腹筋運動は時代遅れ、米軍が体力測定から除外へ - The Wall Street Journal  [2015/12/25]


最近、プロのトレーナーの方々の間では腹筋運動(シットアップやクランチ)は時代遅れであり、むしろやるべきではないとまで言われているそうです。腹筋運動といえば筋トレの代表的な種目であり、びっくりですね。未だに賛否両論があるようです。気になったので調べてみました。


まず、腹筋運動(体幹の屈曲動作)を復習しておきましょう。

  • シットアップ:仰向けの姿勢で両膝を曲げる(両足は床についたまま)。上体を上げ脊柱を曲げながら股関節の屈曲も行えるため腸腰筋を同時に鍛える。ターゲット筋は腹直筋全体(メイン)、腸腰筋、大腿直筋です。
  • クランチ:仰向けの姿勢で両膝を曲げ腿を垂直に上げた姿勢で、上体を上げながら脊柱を曲げる種目。ターゲット筋は腹直筋(上部)です。シットアップとの違いは腹直筋へ刺激の集中(アイソレーション)がしやすい点だと言われています。


次に腹筋運動のメインのターゲット筋である腹直筋の機能をまとめておきます。

  • 体幹の屈曲動作(仰向けの状態から起き上がる動作)の主働筋。ただし、立位の姿勢で上体を前屈させる場合には重力を利用できるのでそれほど使われない。
  • 胸郭を引き下げ息を吐く際に呼吸の補助をする。
  • 腹腔内圧の拡大。立位時の姿勢維持をサポートする。

つまり、日常動作やスポーツで仰向けの状態から起き上がったり丸めたりする動作はあまり多いとは言えませんから、日常動作(特に立位や座位)での腹直筋の役割は体幹のスタビリティ(安定性)と呼吸の補助であると言ってよいと思います。


まず腹筋運動の肯定派の主張です。人間の背骨の構造というのは屈曲できるようにできているので、それを鍛えることには意味があるはずであり(実際に結果を出してきたアスリートが多数いる)、要は過度な回数のトレーニングがいけないだけだろうという見解がベースのようです。
1. 適切なクランチは椎間板の組織に良い刺激を与え、腰椎の屈曲動作への強さを増す結果となる。
2. 適度なクランチは必要な屈曲動作の可動域を確保するのに役立つ。
3. 適切なクランチは椎間板近辺の血流促進に繋がり、椎間板の回復を起こしやすくする。
4. スポーツ競技中などに予測しない動きによって腰椎や脊柱に負担がかかる姿勢になってしまった場合の保護に繋がる。 
クランチは時代遅れ?! 腹筋トレーニングって何が正解なの? [2016/01/22]より引用)
問題となるのはその「安全かつ適切な回数や頻度」といった負荷の変数の設定基準ですね。これに関しては現状でははっきりとしたものがないということです。


そして腹筋運動はもはや行うべきではないという否定派の主張をまとめてみました。

1. 脊柱に過剰に負担をかける恐れがあり、ケガのリスクを増大させる。
カナダのウォータールー大学で脊柱バイオメカニクスを専門とするスチュアート・マッギール教授は、腹筋運動をすれば脊柱に過重な圧力が加わる可能性があると指摘する。同氏は腹筋で加わる力が、屈曲運動の繰り返しと相まって椎間円板(椎間板)を狭める可能性があることを発見した。この組み合わせが最終的には椎間板の突出を引き起こす原因となり、神経を圧迫して背中の痛みにつながり、潜在的に椎間板ヘルニアを発症させる恐れがあるという。 
米軍兵士1500人を対象に実施したある調査によると、3部門に分かれた軍の体力測定から発生したけがの56%が腹筋運動に関連していた。約3.2キロのミニマラソンに絡むけがは全体の32%、腕立て伏せが11%だった。
腹筋運動は時代遅れ、米軍が体力測定から除外へ - The Wall Street Journal  [2015/12/25]より引用) 
2. 日常動作やスポーツの動作にあまり役に立つとはいえない(腹直筋を使っての体幹の屈曲動作が必要な場面はほとんどないため、クランチのように鍛えられる部位が腹直筋の上部のみであるなど効率が良いとは言えない)。

3. 美しい腰のラインやいわゆる「割れた美しい腹筋」を手に入れるためには脂肪を落とすための食事や有酸素運動のアプローチの方が効果的。また腹筋運動を含めて筋トレによる特定の部位の「部分痩せ」は実際には不可能というのが主流な見解だそうです。ただしボディビルダーのような筋肥大が目的の場合には意味があるでしょう。

4. 日常動作やスポーツにおいて、脊柱や体幹の主な役割はスタビリティ(安定性)や上半身と下半身で生み出されたパワーを双方へ伝達すること。これらは体幹の前面だけでなくインナーマッスルや背面を含めた複数筋群が連動してなされるものであり、腹直筋だけを鍛える方法は効率的ではない。

ケガのリスクを考慮すると・・・腹筋運動の否定派の方に分があるような気もします。


では腹筋運動の否定派は代わりにどのようなエクササイズを推奨しているのでしょうか。
次回のエントリではそれを扱いたいと思います。

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